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『Ran ZE 5』 [三文短編小説]

(きづかず
そのとき
いぜんのじぶんを?
はたして
かんがえてみても
しらずの
としつき

ちにおちたひと
はてなく
そこしれず
さいあくにもどこか
さいていなまで

いつわ
じじょうを
さとるものこそ
とぶという
そこにそのばしょ
さいしょ
みいだされたもの)


くれい
きがへんなのか。
いったい。
なにもしらずにあいつ・・・

かずさ
しっとを?

くれい
まさか。
ひとりそのじんせいこそをおうかしたてあいだよ。
そのあいだにいろんなやつがぬけおちていった。
まだいるだけでおかしいてあいだ。
だからちがう。
そうじゃなく。
ここのはなしじゃない。
しってるはずだ。

かずさ
いったいだれのことを?
それをはなしたことが?

くれい
あいつ。

(じかんにこそもんだいが
どこにいてもだった
しかたがないとおもっていたのか
どれほどのものだと
かりにも
たとえばわくせいかんやいじげんとのそうい
げんざいは
ふたりはそのときかつてのげきじょうにいた
うみかぜにあおられむなしくとりのこされたおもい)

くれい
なんて。
くつじょくものだ。

かずさ
それいじょうは。
もうかえろう。
またにしよう。


ー 5 a ー

(あたらしいプログラムをインストールしたばかり
いっけんそれとはべつにかんけいはなく
ふたりはティールームをおとずれる
郊外のバスみちのえんせん
なかにわのようにいくつも
どのしきちのちゅうおうにもひろばがあり
ていそうのマンションがいりくんでならぶ
そのほうしきでせいりくかくされたいったいでちいき
ひろいとおりにそって
そのいっかくのたてもののテナント
レンガばりのでまどのアーチが
てんないはせまくてうすくらく
かべがみおよびすべてのきちょうはモスグリーン
そとむきのまどにはレースにカーテンがかかる
クロスのしいたテーブルのまえのいすにすわり
かたくおもいきんぞくせいのちいさなポットのこうちゃを
おもむろにのむこうい
ざんねんながらすでにひもかたむきくれはじめるころ
なにかふくざつだった
とってのないじきのカップをりょうてでもち)

あれな
リクルートスーツをきてこんなことしてたらどうおもう?

らんぜ
それはぜったいひとりのはず。

あれな
なんかふうていわるいてあいだし・・・

らんぜ
こんなときに。

あれな
おちゃはべつにきらいじゃない。
いいものとおもう。
それはいいとおもう。

らんぜ
しいていうとこれからかえるのがたいへん。
なんでこんなにゆうずうがきかないのか。
しってた?

あれな
どうかな。
はたしてそのこうけいを。
じぶんてきにじゃない。

らんぜ
こうけいを・・・いま?

あれな
どうじこく。
そんなばあいは。

らんぜ
みおくるから?

あれな
それすらしらない。
でもおうおうにそうじゃないかな。
そんなひじゃないかとおもう。

らんぜ
でもかえりは。
しょうじきなところ。
へやに。
もどらなきゃ。
ぜったいに。


(ことのいきさつ
きょうがよていび
そのひにきまったのは二、三ヶ月まえになる
じゅんびにいらいらしていた)

ゆみ
もうどうしろっていうの。
きていくふくが。

なおこ
べつにそのセーターでいいわ。
それで・・・

ゆみ
このスカート?

なおこ
そう。

ゆみ
ほんとうに・・・

(しりあいですらない
かんがえていたものは?
あてにはならず
ばくぜんと
なにかぎれいてきなそのぎょうじだけを
いやでもしかたがないとやはり
ながいボブカットのめはなだちのつよくほそいいんしょう
くろのうすいセーターにロングのタイトスカート
かがみでぜんしんぞうを
こしにりょうてのこぶしをあててみだしなみをかくにんする)

ゆみ
しかたがないか。
いつものごとく。

(そして
しんみょうさのなか
テーブルをはさみ
ひえたグラスシャンパンでうるおす
なごやかであれば
けれどもすこしピッチは)

ゆみ
はなしはどこで?

まり
わたしがかんがえたの。

(むかいのかのじょはブラウスにカーディガンにデニムのパンツ
テーブルにおいたあかいマルボロのはこから
たばこをとりだしわきのジッポーのライターでひをつける
喫煙をしながらもいんにこもったたいど
じろんがある)

まり
かんがえるさぎょうにこそいんしょうが。
それがわかるようになったの。
ようやく。
かんがえかたのこうていがてにとれるように。
はあくする。
わたしはロックアイスってかんじかな。
けずってまるくする。
とうめいな・・・わかるかな?

ゆみ
ロックアイス。
ええ。

まり
がんらいはものすごくもろいの。
おこりっぽいしすぐだんせんするかんじで。
いつだつしてふっきゅうできない
なかなか。
それでもいいときはそういうふうにおもえる。
プロセスは。
よっぱらいみたいだけど。

ゆみ
なるほど。
ものをかんがえるときの。
たしかになにかおぼえてるはずなのに。
やっぱりだめなんだ。

(しょたいめんで
ばしょは市内
おもてどおりのいっかくで市街地
ふるい貿易ビルをかいそうしたレストラン
 すでによる
てんないにきゃくはじゃっかんとおおむね
じょうちゅうのようにはいちされ
ぎれいてきで
そうほうのははおやはしりあいだった
りょうりはすでにはじまり
つきだし
ちいさなフォークでたべるらしく
ぎこちなくとも
それいじょうにウェイターにいいたいことが)

ゆみ
もういっぱいおなじものを。
おねがいしたいんだけど。

なおこ
いくらなんでもはやいんじゃない?

ゆみ
でも・・・

なおこ
ピッチがはやい。
もっとじかんをかけて。
まだだめ。

ゆみ
さいしょくらいは・・・

まい
ボトルをちゅうもんしない?
わたしものみたいし。
それだったら。

みちこ
だったらリストを。
いいでしょ?
べつにね。

なおこ
きはいいんだけどすこしね。

みちこ
むりしなければ。
すきなんでしょ。
いいことよ。
きにしなくていいわ。


(どうもじさだけがあるらしい
ふたりが講座でえたあたらしいプログラム
DSVRにおけるGPS
それをいながらにモニターできること
プログラムのきどうじにはアンダーグラウンドのイメージを
ぜんしんをはしるデータに
りんじょうをごさなくえんかくにしることができる
かのじょたち
かたやふたりはふだんどおりに
ぼうぜんともあいかわらず
煙草をすいながら)

あれな
なんだろう。
そんなにおもしろおかしいはなしなんて。
たびたびおもいつくものかな?
じぶんてきにはそんなさえもさいもないから。

らんぜ
それだけでドラマってかんじではなく。
もっとひとをみろってことでもある。
あくまで。

あれな
まあべつに。
わたしたちとはちがう。
そんなことじゃなく。
かんけいはない。

らんぜ
しょくじはたのしいけど。
じっさいになにかたべたいきが。

あれな
たしかに。


(あたたかいりょうりとフルボディーのあかワイン
そしてグラスのみずをピッチをあげて
こんわくすることも
シュールがある
それでもまだ
だされたりょうりをたべおえるたびにまいかいと煙草をやる)

まり
いつもかたときも。
いわばいっしんにおいてみをとうずる。
それが・・・どうも。

ゆみ
なにかとうすいじょうたいみたいなものが。
きのもちようだけはきっとすばらしいはず。
だから・・・それだけじゃないのか。

まり
まったく。
じぶんがペットみたいなてあいでは。
ちがうけど。
だれかをいしきするとはそうでない。
もっとべつだとおもう。

(はなしはできた。
けれどもくたびれていた)

ゆみ
ことのてんまつは?

まり
あまりだった。
いいわけがない。

(ゆみがワインクーラーにてをのばすと
まりがさきにボトルをとってかのじょのグラスについだ
そのグラスをてにおもむろにくちにする)

ゆみ
どうして?

まり
しかたがない。
むずかしいとばかり。
ただとおりすぎるだけのてんまつ。


ー 5 b ー

(いろんだ
どうする
さだかではない)

エラン
こうしてもどれなくなった。
すむばしょやひとびとがきえてなくなる。
じきにわかる。
じぶんが。
だったらなぜ。
ろくにりかいできないことへのりゆうがある。

ダーナ
しかたがない。
やめよう。

(てんじょうのくずれたがれきからひざしがさしこみ
きぎのものおとととりのさえずり
そこにみをよせたふたり
ダーナはながいカーリーヘアであおいひとみ
そうはくであかいくちびる
ブラウスにチャコールのスーツすがた
まわりをみまわしこしをおろしかたくしんみょうだった
エランはかみはグレーでシャツにコットンパンツにかわのオーバー
かのじょをみながらたちつくしゆっくりと煙草を)

エラン
どうしてか。
どうしてもわからない。
なぜあんたとこうなった。
しりあいなんかじゃない。
いぜんのことはなにもおぼえてすらいない。
それをきょうしんてきに。
どうおもう?

ダーナ
それはしらない。
きづいたときすでにいいえないものが。
よくないとおもった。
でもきみょうにしんきんかんだけをおぼえた。

エラン
いつのころかそうだ。
きづくと。
でもどうしてか。
それがある。
ひっかかるのはそれだ。


あれな
これはさくげきなの?
もうそうと・・・いうかな?

らんぜ
べつに。
だってこれは・・・
あのふたりはあいかわらず。
しってかしらず。

あれな
たしかに。
なぜかな。
アンダーグラウンドのいこうでぼうちょうを。
やっぱりもんだいがありそうね。

(らんぜは煙草をくわえたままポットをつぎ
ゆびにはさんでカップのこうちゃを)

らんぜ
このままどうすべきか。
やはりながいはどうもね。

あれな
たしかに。
でもかくしんがある。
ぜったい。


(なにかのしんみょうさ
すこしかんがえた
いっしゅん
おなじばしょ
そのばにはエラン
ダーナはすわりこみからだをかかえこむ
こんわくしながらもまったくふがいがない)

ダーナ
きっとおわる。
だからなんだ。

エラン
いまはいい。

(そのばしょ
しゅういはフェードアウトするようにあんてん
いあわすことのなまなましいまでのシュール
いれかわるディゾルブのじょうたいに
まっくらでなにひとつそんざいしないばしょ
あっとうてきむにおいてそのみをおく
そしておもくるしく
いらだちを)


おまえか。
ようがあるのは。

エラン
だれだ。


むすめをころす。
そのためのてあいが。
そうだろ。

(おもわずくびをふった)

エラン
しるか。


なにをあそんでいる。
いたたまれず。
おまえのてにかかるはずがない。
だからこそ。
『そいつがそうだ。
せきねんのぶがいしゃだ。
おまえはじぶんがあのおんなのむすめとおもうはず。
そういうことだ』

(そのときすでにはんかんをおぼえ
かのじょはふいにつよきでひるがえす
めをかたくいきどおりをこめたくちょうで)

ダーナ
『なんのようだ。
わたしをうちとるきでいたのか。
おまえなんかが。
つまらないものだ。
くだらない。
よくそうおもうんだ。
なにもたりえてはいない。
だれも』

エラン
ごかいだ。

ダーナ
『もうおわる。
そうでなければ。
くつじょくてきうかつさがまだある。
わたしにはだ』

(こしをおろしていたダーナ
こうせんてきにみをかまえていたが
つぎにすがたがきえる
それは
すでにずじょうにあった
じょうくうにひとしく)

ダーナ
『そのおろかさこそを』

(ひざしをせに
せんこうをみる
がんぜんにかがやきしかいをさえぎる
ふりかかるかのじょのぎゃっこうせんのかげ
けれどもうごけず
みうごきがとれないエランにむけ
それが
きづくとちょくぜん)

ダーナ
『なんだ。
どういうてあいだ』

(エランのひたいにチャクラのもんよう
すいれんのようにがんぜんにひろがるフィールドに
ダーナのそのけんさきはふせがれる)

エラン
『サードアイ・エクスプレッションズ』

(ストロボのようなはっこう
それにはじかれるかのじょ
エランはまあいをとりかまえる)

エラン
『ふじょうをけす。
めっする』

ダーナ
『なんだ。
えらく。
きにくわない』

(ふきげんそうにたいを
そのウェポンをかたくかまえるかのじょ)

ダーナ
『であうということですでにおわるもどうぜん。
どうほうどうぜんであってもさいごはおなじだった』

(リバイバルされたおおきなむそうの斧
サファイアのようにとうめいでワイヤーのそうしょく
えはばいいじょうにながくまったんにもほこさき
むそうのはさきのちゅうおうにおさまるみどりのこうぎょく
ムーブメントによって
ぜんたいをクロノがじゅんかんしはしる)

エラン
『いまでは。
かりにも。
悪をしんぽうするということに。
よくしらない。
じだいのりゆうでしんきょう。
わるさをきどることの。
だからりかいできることがある?
そこにすくいがあるとおもうえるばあいが?
ながねんのかんがえかただ。
あくとくをしり。
そんなてあいはやはりいるのか』

ダーナ
『いきもの。
しこうするものとはむしんなものだ。
がんらいよちがないほどにあいまいだ。
むじょうにうごく。
なにをいうかとおもえば。
くだらない。
なにをたちどまっている。
さっさとしろといいたいな』

(そのじゅうりょくをかいさぬ
ヘビーなウェポンをかかげたダーナ)

ダーナ
『このリザードでしとめるのみ』

エラン
『たたきのめす』

(エランのぜんしんのチャクラはすでにてんかじょうたい
りょうてのこぶしをにぎりしめる
むしんでかいする
すべてはそのまま)

エラン
『サードアイ』

(ほそくはかんりょうしていた)

ダーナ
『ストーン』

(そのきょうい
えたいのしれぬかげ
どすくろいすがたなきもの
けはいこそがきょうき
とらわれる
おもおもしくそれはめがけてくる
きあいこそをうちに)

エラン
『レイジングブッカーズ』

(こんしん
じったいなきものにはなたれるソウル
きょくどのはきにくりだされるれんだ
そのみえざるこぶしによって
じゃあくなそのかげはこなごなにはかいされつぶされる
けれども
じっさい
リザードをかかげせまりくるじったい)

ダーナ
『もうおわるぞ!
でくのぼうが!』

(そのときに)

エラン
『フリーズ・ザ・ブロークン』

(たいしょうに
ぜんしんにいたる
すべてにいっせいにたたきこむ
しゅんじでせいかくきわまる
かんりょうするときすべておわる)


ゆみ
ふだんはどうしてるの?

まり
あまりなにも。
じかんだけで。

ゆみ
じかんがあるなら。
さいきんはそれだけがきびしいきがして。

まり
むずかしいのね。

(チェックだった。
せきをたつ)

みちこ
きょうはありがとう。
よかったとおもうわ。

なおこ
ほんとうに。
あまりね。

まり
またはなしをしましょ。
ちかいうちにでも。

ゆみ
ありがとう。

(すこしめいていぎみであるのかもしれないが
みせをあとにする
とりあえずそのぎょうじだけはおわった
もんだいなくやりすごして
じっさいおもてにでてきたくするだけのこと)


ー epilogue ー

(エランとのかくとうにからだをはかいされたダーナ
いまは
いしきもとおのくばかりだった
そのばに)

ダーナ
これでおわりだ。
そうらしいな。

エラン
いんがなものだ。
けっきょく。

ダーナ
なにもおもわない。
それにはちがいない。

エラン
そんなの。
なぜ?
ばかなはなしだ。


それがな。

(いまだすがたはなく)

エラン
なんのようだ。
えらくこだわるな。


ひよっこがな。
そのままようなしだ。
じゅうぶんだ。
もういい。

ダーナ
そのウェポンを。
これがさいご。
そいつのことはしらない。
ほんとうに。

(そばにころがるリザード
それはエランがてをのばすとあっさりとはじかれる)


だめだ。
『おまえはもはやひつようではない。
ちんもくすべきものにこそあがなわれろ。
 いけにえだ』

(しゅういのやみはいまだ
そのこうだいなスペースをやはりいしきした
あまりにかぼそいひんじゃくなこのみへのふがいなさ
あおにさいであること
ちのけがうせふるえるおもいを
つのるようにじょじょに
ぼうりょくへのきょうふがそのときにはあった)


『さいごだ。
なにかいってみろ。
いえるものなら。
どうだ』

あれな
『レザード』

(おおきくじゅうせい
エランのはいごから
とつぜんそのぜんぽうにおおきなかざあながあく
それはふかくひびわれる
ひびわれはぜんたいへといたり
くうかんはほうかいしなだれおちる
かのじょがてにした『エボ』はリボルバー式のガン
こがたでじゅうしんのしたにジョイントのアームがあり
ことなるにほんのつつのレンズがかどう
ほんたいのじょうぶにはひらたい
アナログしきもじばんのナビのコンパスをそなえる
ざいしつはオリファルコンでかきいろ
グリップにトゥールビヨンがおさまり
ワイヤーでクロノがじゅんかんする
かまえながらじゅうこうをあげ)

あれな
ねぶかき異分子。
そのいったん。
いうところの。
これでしゅうりょう。


(まさにまっさおで
きろにつく)

らんぜ
まったく。
なんだったんだろう。
ぬけさくってこと?

ブレイカー
まだいたらないな。
たぶんほんねがないにひとしい。
むなしいだけで。

(どれほどであっても
ならぶこうそうのマンションぐん
そのとおりぞいのショーケースはどれもすでにクローズ
ひろいしゃどうはていきてきにくるまがおうらい
えきまでのみちのり)

らんぜ
どこにいてもふかしぎにちがいはない。
ぐうぜんにでも。
あのこもこのあたりにくらしれるそうね。

あれな
あのえいがだめだった。
もうはじまるな。
ざんねん。
かえってみたかった。

らんぜ
またやるんじゃないかい。
リピートほうそう。
それともいまがきになるのかい。

(たびたびではなく
ふがいないきがただする
つみすら
まだいたらずにあって
いまであれば
こんかいはとりあえず)


ー 『Ran ZE』 to be continue ー


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