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『ひとりぼっちの夜』 [三文短編小説]

(こんなせかいじゃなかったら
たとえ
たちいれずに
こちらから
そのほう
もっとゆうべんな
ふれる
うかがいしること
できないもの
けっして
りかいできる
けっきょく
だからこそ
せいめいせん
せんりつ
いまだ
まるでいしころ
ちんもくする
かたく
むじょう
そうしている)


ー 『ひとりぼっちの夜』 ー

(唯たびをする
そのきょうちだった
そのためのしゅうさく)


ー prologue ー

(そのひにかのじょは)

れいこ
(こまる
どうしてか
こんなてあい
いつもそうだったきが
いうと
そうらしい)

(かぞくとでかけたひ
じこうは
まだひえる
ブラウスにブルゾンとスカートでブーツ
ゆたかなロングヘアでむひょうじょう
きょむをいだくこと)

れいこ
(さえない
でもどうしても
いい年齢をして
それがいつまでかな)

(こちらから
よくある
リミット
あるいは
もっとじょうぜつで
おもうべき)

れいこ
(もうつかれた
からだがしんどい)

父親
しゃしんをとるよ。

れいこ
どうして?

父親
いいから。

(かんべん
ぎれいてき
くるまに
このひおとずれたばしょ
とおで
そのきねん
きろくで
きおく)

れいこ
(わけがわからない
いつもそうだけど
いいかげんで)

(ふうけいにおいて
そのばしょをかんずる
いま
もはやおもいだせない
ながらくのだせい
どこにいても)


いつじ
さけをやりたいんだ。
うんてんをかわってくれないか。

れんや
そんなの。

れいこ
ぜったいこまるわ。

(こくどうをそうこうちゅう
じょこうする
ロードハウス
れいじをまわる
パーキングにていしゃちゅうのしゃしゅ
おずおずとくるまをおりてなかに
ネオンをおもわす
アーリちょう
ようすは
カウンターとテーブルせき
ざっくばらん
とおまきにばくぜん
さけるようでもあり
こしをすえる
どうにか
ひといき)

れんや
煙草もってる?

れいこ
だめ。

れんや
かってくる。
いい?

いつじ
だったらたのむ。

れいこ
おねがい。

れんや
ちゅうもんしておいて。

(せきをたったかのじょ
グリーンのショートヘア
まるぶちのめがねをかけ
ジャケットとがらのブラウスでスラックスにブーツ
いつじはウェイターをよびオーダーをする)

いつじ
まずドラフトビールのジョッキ。
どうする?

れいこ
うん。
そうよ。

いつじ
それとていしょくを。
だいたい・・・
それでいいだろ?

(だまって
ウェイターはちゅうもんをききさがる)

いつじ
こわれそうだ。
わるいけど。
これいじょうはだめだ。
しかたない。
ゆっくりしよう。

(いつじはわかくない
かみはかりそろえてがんぶちのめがね
まるくびのセーターにデニムのジャンパーとズボン
そしてかわぐつ
しらけたもの
いい年齢をして
けれどこれから
やくそくごとが
それをしらず
ききたい)

れいこ
れいのひと。
ごうりゅうするよていの。
どういうひとなの。

いつじ
むかしのしりあいだ。
ぼくいじょうにかのじょがしってる。
しばらくぶりだ。

れいこ
ほかに。
それだけ?

いつじ
かんけいない。
はなしをすればわかる。

(あしばやに
もどってきたかのじょ
せきにつく)

れんや
かってきた。

(むぞうさにテーブルにおいた煙草のめいがら
それぞれてにとりさっそくふうをきる)

れんや
おかしなやつがおもてで煙草をすってて。
すわりこんで。
さんにんくらいかな。

いつじ
れいせつだろ。
よくある。

れんや
ちゅうもんは?

いつじ
したけど。
さけはやらないだろ?

れんや
もちろん。
たのんで。

いつじ
やるのか?

れんや
そう。
ちゅうもんして。

いつじ
なんで。
ぜんいんそうか?

れんや
かんけいない。

れいこ
いいぐさがおかしい。

いつじ
だったらえらいロスだ。
ほんとうにしんがい。

(オーダーのジョッキがはこばれる)

れんや
わるいけどビールをもうひとつ。
おなじものを。

いつじ
ほんとうにどうするんだ。
よていがい。

れいこ
おっさんね。

(煙草を
つねにそのつど
そのたびに
おこたらず
きざむもの
おぼえてもいないほどに
いそがしく
せわしない)


ー part 1 ー

ラジオ
まもなく3pmです。
みなさんはこのあとのよていはなにか。
どうおすごしでしょうか。
ちかごろはぼうぜんと・・・していますね。
まちびとはこず。
そんなかんじかもしれません。
ばくぜんとしたひびです。
すこしきおいもあるかもしれません。
ではつづいてのきょくです。

(ゆるぎない
そのげんそく
ぼうぜんと
こころなし)

じゅうじ
(なにやってんだ
まったく
しょうもないやつ)

(ハーバーのデッキ
ちいさなテナントのみせのそと
おくがいのテーブルせき
うみかぜにさらされながらびんビールとワイン
それとほそまきのシガー
そのひはくもゆきがあまり
たんじゅんに
ながらくのばしたかたまでのかみ
こおりついたようなひょうじょう
フードのついためんのウェアにデニムのズボン
そのうえにジャケットを
いまはいている、すっかりといたんだ、スニーカーをながめ
おちこむ)

けいたろう
ふけつっぽいはなしだ。
いまいち。

じゅうじ
きのもちようだ。
よくおこたる。
なにかをしていているときにそうなる。

(けいたろうはたんぱつでぶしょうひげ
カラーシャツにほそみのタイ
ヘリンボーンのジャケットとコットンパンツにたんぐつ
はまきをやってまるでサタンのじゅうしゃのようだ)

けいたろう
どうしてだ。
きにかかる。
きじょうで。
ちがいない。
おうおう。

じゅうじ
じぶんのはこにわでは。
ことのてんまつだ。
ぞっとするぞ。
のぞんではいないはずのもの。
さいていだ。

けいたろう
そんなの。
どういうことなんだ。
やっていける。
なにがなにやら。
だいじょうぶなんだろ?

じゅうじ
おちど。
もろいものかも。

けいたろう
だからびょうきだ。
なににあたった?

じゅうじ
ばあいにかこ。
しらないしおもいあたらない。
むじかくだからはなしにならない。
ごめんだ。

(やはり
みえすいた
いまの
ちょうじかんのつかれ
シリアス
すくなくとも
どれほど
きょり
なにをしっていた)


じん
あいてとかおをあわす。
それだけでもただよぎる。
よくじょうをもよおす。
どんな。
ひつぜんてき。
じっさいに。
かならずまわってくるもの。
それいじょうはとくべつ。
たとえばえきのホームでれっしゃをまつ。
 レストランのせきでオーダーをする。

じゅうじ
レストラン。

じん
かならずりょうりはていきょうされる。
おもいたって。
そのあいだじゅう。
ノイローゼで。
くうふくであり。
ながらくのうつのようで。
もちろん。
それはようやくめのまえに。
オーダーどおり。
げんじつてきにいって。
それをたべる。
ちがいない。

じゅうじ
とうぜん。
くうふくであるし。
こまるはず。
なおさら。

じん
いいわけじゃない。
じじょうが。
もしひとりできゃくをまつあいだに。
まったくわからない。
よのなかでなにがおきているのか。
しらず。
もちろんことにはおよぶ。
りゆうは。
まだしらふのほう。
だれとでもおなじようにする。

じゅうじ
だったら。
じぶんてきいいぶんが?
しいていうと。
わからなくはない。

じん
ばあさんじゃなし。
ぎゃくでもない。
だからなにもできなくなった。
あきらかにそうだった。
おろかしい。
まさにおっさんってかんじ。
じぶんてきにじぶんは。
なげきかなしい。
いぜんだったらどうおもうか。

じゅうじ
おっさん?
じぶんてきにいうと。
そんなの。
いかすはなしだ。
いまどき。

(ショートボブ
しろのブラウスにくろのみつぞろいでロングスカート
じんはさっかだった
それがこうじていまはしょうふ
このごじせいにフリーセックスいじょうにこだわること
いいぐさのようでもちぶん
なにをかんがえて
『しっぴつする』
かならずくだらないとおもうはず)

じん
まいにちあいてがちがう。
もちろん。
やりたいこころもちは。
ざっくばらんに。
おなじくらい。

じゅうじ
たんじゅんにしつれんしたら?

じん
いろいろとあるのがよのなか。
そんなはなしはまたにする。
かんがえとくわ。

(いまのへやは
にもつはみせいりでゆかにマットをしいて
じゃばらのガラスのひきどに
シェードのついたライトスタンド
ひざしはほとんどつねに
ひがくれればひとばんあかりをつけてすごす
そとからはまさにシェルター
やまいのためとおもえるほど)

じん
またね。
いまおかねは。
こまってない?

じゅうじ
それはいい。
まあがんばって。

(かのじょをみおくる
なにもかんがえてはいない
れいぞうこにはすでに
どうしても
ねむれず
こまったもの
はらがたった)


ニュース
こうえきとしである『ベレック』のうんえいについて
『ヴィーチャム』および『ヴィガレッジ』
そうほうがけんかいをひょうめい。
ちゅうすうをになうしほんかにたいするコメントに
しちょうは
『じきそうそうではあるがすみやかなたいおうがのぞまれる』
とのべました。
また
ちかぢかおこなわれる
『ちゅうおうせいふによるささつ』においても
ゆうえきなけんかいをしめしたいといこうをひょうめい。
しゅうにんいらいさいだいのできごととのべました。

れいこ
これが。

れんや
そうよ。
そのことをいってるの。
かんがえものよ。

いつじ
いんがだ。
きにするな。

(しないのマンンションのいっしつ
リビングでテレビをみる
ひろくひあたりがよく
かどちでコーナーがありカウンターのキッチン
テーブルにはサングリアのはいったデカンタとグラス)

れんや
こんなごじせいはねがったりかなったり。

(かねのはいざらをてに煙草を)

あすか
あいいれない?

れんや
しかたないとしかいえない。

(あすかはあいいろのショートヘア
やせほそり
ニットのとっくりのセーターにズボン
てにしたグラスをかたむけ)

あすか
くうふく。

れんや
そうね。

(こんなんとは)


ー part 2 ー

(しんだいによこたわる
じしつのベット
からだのおさまりがわるく
いたいほど
いつでもうかつに
ラジオはときおり
すでにわすれていたチューン
さきほども
かんがえるのは
じかん)

いすず
あいかわらず。

(えいえんの
こちらがわ
ねんしょうされる
なまなましい
じかんのはだざわり
ふれるほど
きょうずる
くだり
りっする
なみのよう
おいつめられ
きょうふ
とぎれそうに
ぜんせいき
ひろがる
むみな
こうかんすること
ふいにちんもくするものが)

いずみ
くろうしそう。
めにもみえそう。
じかくがない。

(いすずはながいかみ
ねまきすがた
としごろでたいかくはこがらでかたく
いずみはおなじくねまきすがた
からだつきはおおきくのびやか
いっけんかおだちのいんしょうはよくにている)

祖父
どうした?

いすず
べつに。
なに?

祖父
またれいのともだちかな。

いすず
そうじゃない。

祖父
いまは。
でてこない。
だいじょうぶかい?

いすず
だいじょうぶ。

(へやのとぐちにたったしょろうのろうじん
はくはつでシャツとコットンパンツ
かのじょのそふでそだてのおや
ようすをみてさがる
ながらくのじしつ
へやはせいぜんと
はいいろのかべがみ
ゴシックちょうのいろガラスのスタンド
ゆかいなおきもの
がくぶちのふうけいが
そしてまどからうかがうこうせんとこうけい)

いすず
なにかあるの?

いずみ
いまにわかる。
たぶん。

(いずみはかのじょとしか
あくまでも)


じゅうじ
セキュリティーのてっそく。
かならずアンサーがあるものだ。
それをかくにんしつうほうする。
じじょうはもちろん。
たいきちゅう。
けっしてうろたえず。
つうほうごにことのしだいなんてない。
とうじしゃはじじょうをよみこんだうえ。
そのうえでじはつてきにうごく。
だからだ。
かんりしゃかいではない。
ほんとうのみんしゅてきなありかた。
すべてがとどこおりなくけっしてむじゅんがない。

あすか
むかんしんでも?

じゅうじ
いしきだ。
こころもち。
ふつうにそうおもう。
かんしんがなくぎれいてきでも。
そういうばあいはそうだとわかる。
むずかしいものではない。
だからばんぜんのたいせいだ。

れんや
こうしゃくはいいけど。
ふだつきで。
わかってるの?

じゅうじ
もちろん。
ふつうはいりようもない。
しゅうちにひとしい。

(わざわざつどう
ファミリーレストランの
ドリンクバーに煙草
ボックスのせきにならんですわり
かのじょは
ぼうぜんとして
さすがにつかれていた)

じゅうじ
なまえは。

れいこ
え?

れんや
はじめましてでしょ。

あすか
そうよ。
こまるでしょ。

じゅうじ
しってる。
いみしんってかんじでいったまでだ。
わざと。
じぶんてきにもうおっさんだろ。
しりあい?

れんや
もうろくして。

あすか
ほんとう。

いつじ
だったらすこしそとに。
ひさしぶりだろ。
このあたりは。

(なにがいいたいのか
じもんじとう
あたいしない
ちんもくとはそうではなく
おもいしる
いぜん
ゆうべんではない
おかしないいぐさだけだった
そのあと)


れんや
(しぬという。
それがよぎる。
てっそく)

(あいま
ノイローゼが
へいじのじかん
ふいに)

いつじ
だれがよんだ?
やすうけあいか。

れんや
え?

いつじ
なにかんがえてる。
いえよ。
おちどがあるのか。

あすか
なにいってんの。
わかってるのよ。
ひとりごとでしょ。
じぶんのことばかりいって。

いつじ
だったらいい。
つかれてるらしい。
パフェでもたべる。
オーダーする。
サンデーモーニンング。
いまはしんや。

れんや
(つねにきわめること。
しこうせい。
じんせいかんかもしれない。
かたりぐさ。
いまだかわらずのままに。
そうであれば)

あすか
だいじょうぶ?

れんや
もちろん。

(せじ
いいぐさ
こころない
まだつづく
りゆうもなく)


じゅうじ
(おまえはなにをしている。
いいかおでもしてるのか?)

れいこ
いったいどういうこと。
きいてないわ。

じゅうじ
もうすでにかんけいしゃだ。

(ふくれっつらのかのじょ
ごきげんななめ
おもいかえしても)

れいこ
よくおもいちがいがある。
ぐうぜんなら。
なぜか。
いぜんなにをして。
いまでもぐうぜん。

じゅうじ
ゆいいつのもの。
どこまで。
どこにいようと。
じぶんがネックだ。
ほしぞらをみてもなにもおもわない。
そんなものでしかない。

(ローカルちいき
とおりをはさみ
しゅういはじゅうたくち
ひろいこうえんがあった
ちゅうおうにはいけ
しゅうへんをほどうにそってあるく
さんぽするきんりんのじゅうにん
じかんたいはかんけいなく)

れいこ
どうしても。
うかれてる?
ぎゃくなんでしょ。

じゅうじ
むずかしい。
からっぽってことだ。
なおさらにこんなんがある。

れいこ
からって・・。
わたしそうかな。
いきてるここちがしない。

じゅうじ
かしこいひとはじっさい。
年齢はかんけいない。
そえんでおぼえてもいない。
おりあいがつかなかったわけで。
でもじきにわかるように。
たっかんするいじょうにすべてかわる。

れいこ
さすがににわかくないから。

じゅうじ
ばあさんのほうがいいはずだ。
じょうとうく。
じっさい。
そのうえでじいさんっていうのかな?

れいこ
ろくでもない。
すくいがないうえに。
どんなてあいかわかるきが。

じゅうじ
くやまれるじぶんだ。

(そのよ
たしかにそらは
つきはあかあかとかがやく
じっさいなにかをさとったりきづくことはなかった
ながらくそういうしんじょうがない
ばくぜんと
いったいなにをしていたのか
しんねんもしんじょうも
すなつぶのごとくこぼれおちたもの
じかんのひつようせい
せいめいせん
かんがえているいじょうに
そこない
きづかないもの
ぐちってばかりで)

じゅうじ
しまったな。
だから。
わすれていた。
はらぐろい。

れいこ
なに? 
どういう。

じゅうじ
ノーマル。
ふつうにだ。
かんがえていたことが。

れいこ
ふつうに。
なんのこと。
なにを・・・したいのか。

じゅうじ
たいせつだ。
あきらかにおちどだったよ。

れいこ
でもショック。
いまさら。
それがないてあい。
かんがえてもいない。
わたしってあおにさい。

(おおくの
たしかにおおくのいつわがあるはず
そうおもうこともある
あまりにしらけてぞんざいなばかりに
げんじつてき
おもうもの)


あすか
どうするの?
よていは。

れんや
ちゅうおうのシステム。
それをねんとうに。
いわばはらぐろくする。
ちょっとした。
ショックをうながす。

いつじ
いちばんのいいぐさは。

れんや
おかね。
こてんてきにいっても。
どんなてあいであっても。
そのさわぎにちゅうおうせいふはかんがえどころ。
そんなことではもんだいありでもんだいがい。
あしなみがそろわず。
いわばなっていない。

あすか
だからセキュリティーに。

いつじ
たのみのつなにちがいない。

れんや
しゅっししゃがつどうひ。
ネットワークじょう。
いわばレセプションでそれはそれはってかんじで。
みんなふんぱつする。

いつじ
じっさいあるかもしれない。
よていはどうかな。
かんけいはない?

れんや
ない。
もくてきはあくまでも。
こぞってチェックをきりにゅうきんされる。
そのおかねのいきさき。
それだけがねんとうでじっさいのはなし。
こうざにこそりゆうがある。
それをいかさまではなくじっさいにいただく。
おおやけに。

あすか
どんなかんじ?

れんや
もったいつけるべきなら。
だまってやるのではなくいいぐさを。
そのよういんでいわばしったいとなった。

いつじ
せんせいするのか。
いいんじゃないのか?
べつになのらずとも。
ことがことで。
じっさいめんもくはうしなわれる。
むしろまわりくどい。
いうべきこともない。

あすか
アマチュアいしきって。
なにがどうにいったことか。
だまってるべきだとおもう。
いまさらかんけいない。

れんや
だったら。
じっさいてきなはなしこそがほんだい。
それだけ。
それいがいはない。

いつじ
とりあえず。

あすか
あとはかれってことね。

れんや
そういうこと。
わたしのやくわりについて。
もうおわり。
ぶぶんてきにはすでにあがりね。

いつじ
たいやくだ。
ほんきなのか。

れんや
ことはある。

あすか
それでもけっきょく。
なにかんがえてるのかわからずじまい。
さいご。

いつじ
しばし。
そんなことすらある。

(べつにそのよというだけではなく
かりに
かみはさいをふらず
とうぜん
そんなきまぐれではなんじゃく
どうあっても
たりえてはいないだけ
それにすぎない)


ー part 3 ー

(こうがい
9am
きょうもかってに
いまはコーヒーショップ
ひとり
カウンターせきにすわりてんないをみまわす
ガラスごし
ローカルえきのしゅうちゃくてん
けだるくひとけはあまり
へいじつ
またしてもいちにち
ぼんやりと
ためいきまじり)

いすず
いつもひとりね。

りょう
え?

(シュール
こえをかけられた
すがたはなく)

いすず
きょうはなに。
かんがえてるの?

りょう
べつに。
いつも・・どおりだよ。
ぎゃくになにかあるの?
しらない。

いすず
そうね。
むずかしいかしら。

りょう
かもしれない。

(くうろんのよう
さっかくしている
かれはがくせい
のばしたかみをかりあげ
シャツにデニムのパンツにスニーカー
おおきなジャケットをはおってかわのリュック
どういう
うわぎのポケットからモバイルをとりだし)

りょう
さいきんは・・。

(ものぐさ
あつかっていて
しゃくぜんとしない
かんがえて
てをとめて)

りょう
べつにいい。
でかける。

(あてはない
いつものごとく
てきとうにむかう
しんじょうだった)


(ちんせい
あいま)

れんや
いったいじぶんをどうおもってるの?
ほんとうのところ。

じゅうじ
おいぬさまだ。
ちくしょうであってこうぜんたる。
みればわかる。
ふごうりでこまったもの。
にんげんしゃかいとはあいいれない。
モダンなてあいじゃないわけだ。

れんや
そんなの。
あきれる。
よくいう。

じゅうじ
ぜんいんすどおり。
おいぬさま。
めいわくで。
でもしかたがない。

いつじ
はんぶんはすでにしんでいるかも。

れんや
たしかに。
いきてはいないとおもうはず。
でもぎゃくに。
うごくはめ。
なぜかなざしだ。

(しないのびじゅつかん
しんきでまあたらしく
ひろいしきちのきんだいけんちく
あくまでゆうべんなつくり
そのひのあさそうそうにあしをはこぶ
きかくもののびじゅつひん
かべにかけられたおおきなカンバス
たちどまりめをこらす)

いつじ
あのこに。
どういうこんたんなんだ?

じゅうじ
まさにめがみだ。
ちがいない。
おそれおおく。
べつにさからいはしない。
ふつうだ。

れんや
たんにうすらばかってかんじ。
なにいってんのか。
せつめいになってるの?

いつじ
それなら。
よのなかしょうふばかりでうんざりする。
たしかにきりょうがありおたかくそしていんけん。
こんなてあいなんて。
へどがでる。
さいあくにきまってる。

じゅうじ
だからばあさんだろ?
まさにそんなかんじの。
はらぐろい。
じっさいとしまで。
にこりともせず。
へんくつでかたく。
よこしま。
ふうきすらわるい。

れんや
かんけいない。

いつじ
けっきょくはしたがう。
わたくしごとだけではいられない。

じゅうじ
こころもち。
いいことだけはないよのなかだ。

(かんないはしょうめいをおとし
がんぜん
スポットが
まじかで
しきさい
ひっちをみる)

じゅうじ
いんしょうはいらい。
アトリエから。
そとへ。
こうがい。
じゆうになり。
こんらんする。
かねとひょうばん。
しかつもんだい。
おちどなのか。
えかきのしんきょうに。
こどくを。
あたらしいせだいのわけだ。

いつじ
げいじゅつかこそ。
はやくこのはこから。
にげるべき。
こうげんする。
やばいもの。

れんや
これがルノワールでしょ?
たっぴつね。

じゅうじ
じょうけいがあった。
ふるいせかい。
まさにかくめいごのパリのようだ。
ひとのげんてん。
こうけいはいごにつらなる。
そのじだい。
べつに。
ぜんごしてウィーンにきうんがおきる。
クリムト、シーレ、マックスオッペンハイマー。
そのいっぱが。
がんらい。
ていせいのオーストリア。
さいきょうのこっか。
首都ウィーン。
せいぜんとした。
じょうさいのとし。
せいえい。
なごりであっていまだ。

いつじ
こういうのをどういうんだ?

じゅうじ
きょうらんというべきでは。
すべてがすべてあたらしいていぎである。
おもいしる。
いたらないとおもう。

れんや
こんどうのしようもない。
あたりまえ。

じゅうじ
あくまでアートのはなしだ。
でもじんせいではある。
せかいがちがうせいだ。
なおさら。

(つごうのいいことなんてない
とうぜん
いうはおろか)


りょう
すごい。
あたらしいふうけい。

(そよぐ
いったいは
いりくんだせっけい
おうだんしてしゃどうがとおる
ひろいくかくにたちならぶビルディング
まあたらしいがいへき
ガラスばりのぞうけい
そらすらめにする
ひろいかわにはなかす
りょうがん
しないのちゅうしん
さいかいはつ
いぜんにもまして
かわぞいはせいびされ
ほどう
がいろじゅ
ふきぬけるかぜ
かたく
おだやか
きのうした
とし
ありかた
GPSをたよりにみまわし)

りょう
(・・あのひと)

(いってん
とおまきに
たてものからでてほどうをあるくいっこう
かのじょが)

いすず
どうしたの?

(どうかんがえても)

りょう
たぶん。

いすず
たぶん?

いずみ
きょうは。
まるでぐうぜんみたい。


(ふてくされて
だったらいったいなにがある)

あすか
だいじょうぶ?

れいこ
しんどい。
なによ。
ダッサイ。
きらいなのに。

(いんしょう)

あすか
しかたがない。
ちょうどいい。
しょうかいするわ。
きょうのアンカー。
いうとかいけいね。

れいこ
べつに。
いらない。
かんけいないし。

あすか
かのじょよ。

(そのじんぶつはとしいき
くちひげをはやし
ロングヘアでくびもとのうしろでくくる
セーターとコットンパンツにたんぐつ)

こうぞう
どうも。
はじめまして。
よろしく。
おわかいですね。

れいこ
そうですよ。
はじめまして。

あすか
そういうこと。
というわけ。
もういいわ。

こうぞう
もちろん。
かってにどうぞ。
いうまでもなく。

(ひとりさがる
どうかんがえても
さんまんでかんさんとしたもの)

あすか
あんなのが。
ひとってわからないもの。

れいこ
どうして『かいけい』なの?

あすか
じっさいにかいけいなの。
チェックをきったそのとうにん。
きょうのできごとはすべてあれのいこう。
だから。
べつのいいかたではだいりにん。
そういうのをうけおうてあい。

れいこ
ここでなの?

あすか
ばしょが。
ごめんなさい。
いまはメンテナンスのさいちゅう。
きょうつかうホストコンピューターの。
でもすぐおわるわ。

れいこ
わけがわからない。
もうたおれそう。

あすか
きをつけて。

(いまげんざい
かいそうしたふるいたてもの
にかいは
てんじょうがたかくひろいタイルばりのフロアー
おもおもしく
よていのおおがかりなきざいがおかれて
はいせんがしかれ
べつだん
むかんしんにおんがく
よういされたドリンクはアルコールるい
にっちゅうでもはだざむく
すうにんのくろしょうぞく
スーツすがたのかかりがたいきしていた)

れいこ
たしかにうらかたみたいなひとがいるけど。

あすか
ここはもともと『しゅうどういん』だったの。

れいこ
しゅうどういん?

あすか
ぐうぜんだけど。
しかたない。
だからだれのせいで。

れいこ
そういうことね。
あんなおっさん。

(じきに
まもなくセットアップをおえる)


ー part 4 ー

(しきちない
むぞうさにおかれたベンチ
いりぐちのアーチのホールのそば
おもてどおりのようすすらうかがえる
はいざらがおかれ
そこで煙草を)

じゅうじ
しつれんするな。

れんや
またそんな。

じゅうじ
かんがえてもむだだ。
じぶんにうんざりする。

れんや
どんなりょうけん。

(そばにたち
はいざらにはいだけをおとすかのじょ
じぶんとは
ふるくさいだけのたいど
につまることなどおおよそ)

れんや
よていのプログラムは。

じゅうじ
『アーネスト』。
こてんだ。

れんや
ほんとうにこてん。
さんだんするってやつで。

じゅうじ
けっかしだい。

れんや
それでなにか?

じゅうじ
なに?

れんや
なにも。

じゅうじ
しらない。

れんや
なにか。
べつにうらんでは。

じゅうじ
ちがう。
そんなきはない。

れんや
それでいいけど。

じゅうじ
もうじかんだな。
ここでいうべきなのは。
かんがえてもいない。
それをいっておかないと。

(せきをたちたてもののなかへ
かりに
もしすべて
じんせい
サウンドトラック
すべてが
タブのきちょう
そうであれば
たぶん
けれども
いまはめさきのしごとが)


じゅうじ
じゅんびは?

こうぞう
もちろん。
いつでも。

れんや
そうだな。

(きをぬいて
おもむろにふりかえる
フロアー
なぜかめがあう
だれなのか
どういう
みなれない
いまはわからず)

こうぞう
では。
コンピューター。
きどう。

(プログラムがたちあがる
きょうしんする
しゅうい
びどうにゆれるくうかん
しんどうする
しかいに)

Vo
げんざい。
きどう。
プログラム。
OS『アーネスト』。
きどうちゅう。

(ここに
おおわれた
OSのプログラム
かんきょうは
ラテンきちょう
いんえい
ちりばめたゴールド
かがやくプリズム
スポット
うかびあがるすがた
とうにんたち)

OS
ユーザーをかくにん。
パスワード。

じゅうじ
『セービング・アン・ザ・ランス・ロード』

OS
かくにん。
たいしょうをほそく。
げんざいせつぞくちゅう。

(きょむという
がんらい
じつざいせずそんざいはしない
うかつな
たりえて
わかっては
いいえて
はたして
もちえるものと)

OS
せつぞくちゅう。

(プログラム)

れいん
なんだ?

OS
おんせいモード。
にゅうりょく。

(すがたはなく
ひびきわたる)

じゅうじ
なんにちめにあたる。

れいん
みっかだ。

じゅうじ
どうおもった?

れいん
いったいなにがいいたい。
いってみろ。

じゅうじ
なにも。
もんだいなく。
そのうえ。

れいん
どうする。

じゅうじ
すぐに。
まっさきに。

れいん
もういい。
ぐうぜんか?

(なぜかここ
いあわす)

りょう
ちがう。

れいん
どうおもった?

じゅうじ
ほらそれだ。

りょう
べつに。
ちがう。

れいん
よくある。
いえないか。

りょう
けんかごしだった。

れいん
そうかな。
いっけんしただけで。
たしかか。

れんや
なんのこと?

れいん
はなしをしろ。
いいかげん。
なにさまだ。

じゅうじ
たんじゅんにもにふくす。
しってのとおりキーなんてものはあらえる。
いこうがわかればそのけいこうでぜんぶわかる。
じかんをかければ。
すべてふごうする。
ふつうはそうだ。
とりあえず。

れいん
だからなんだ。
すべてせいじょう。
きのうしてる。
バックアップもある。
いかんではない。
もんだいが?

じゅうじ
あいにく。
げんかいがある。
ひつぜんてき。
ばあいに。
しんきのセキュリティー。
あたらしいパターンのよち。
こうちくしこうしんする。
たんてきにもそのプロセスがある。

れいん
けっきょくキーをふやすだけだ。
あまりさえてはいない。

じゅうじ
プログラムはしろくじちゅうさどうしている。
ぼっとうして。
わかりきっている。
ひつぜんてきなほうしん。
それがほんとうのキーだ。
ここでおわるのなら。
すでにさどうしているはずだ。

こうぞう
はやく。
いまこうざににゅうきんされた。
すでにはなしはおわってる。

れいん
いっておくとだ。
たしかにマスターキーはある。
そのうえでのセキュリティー。
だがわたしのいちぞんであるのか。
かんけいない。
すべていこうどおりにだけさどうする。
ごたくをのべずとも。
ふつうはそうだ。
まったくかんかつがちがう。

(こみいっていたもの
いまだ)

れいこ
しょうじきなにかしらない。

(ひとごとのようで
あまり
うながすもの
けれどこのときそうではなく)

じゅうじ
これで。

(こしのホルスターからじゅうを
かまえて)

じゅうじ
おなじことだ。

(そのとき)

Vo
セキュリティー。
ちゅうおうぎんこうこうざににゅうきん。
げんざいかくにん。
アンサー。

れいこ
・・なに?

れいん
きりょうもなにも。
くだらない。
ほんきか。
いちおうきくが。

じゅうじ
さいしょから。
こんかいはそのつもりだった。

Vo
げんざいこうざにぜんがくにゅうきん。
しゅうりょう。
アンサー。

れいこ
そのおかね。
でもなぜわたしが?


ー epilogue ー

(ふるい
みにしみる
うかつさ
きにやむ)

れんや
こいびとができたらしょうかいして。

りょう
すでに。
かたときも。
さいしょから。

(かわべり
せいびされたひろくあたらしいしゃどう
ろかたにていしゃちゅうのくるま
チャコールのカラーがあわいひざしをうける
マセラティー・クワトロポルテ
ドアはあけたまま
こうぶざせきにすわるかのじょ
そのしゅうい
くるまによりかかり煙草を)

いつじ
もんだいなく?

こうぞう
すべて『かた』のために。
こうざににゅうきんされたがく。
どうがくでたうえにきづかれず。
ぜんいん。
はらをくろくせずにすんだ。
ほんとうにこうえいだ。
だからまったくふどうのままおわった。

(とりあえず)

じゅうじ
よかったのか。
けっきょく。
はんだんはできない。
ちがうともいうだろ。

いつじ
さいはいはかのじょ。
 しかたない。
べつにいかんじゃない。
こんかいは。

れんや
これから?

いつじ
かのじょをおくるつもりだ。
ほかはなにも。

じゅうじ
つきるな。
しんみょうだ。
おいぬさまでは。

れんや
わるいけど。
とちゅうまで。
それだけよ。

いつじ
かのじょのよこにすわれよ。
あとは。
いいか?

じゅうじ
わすれものは?

れんや
はやくだして。

(かれらがのったくるまをみおくる
あっとうてきにぬりこめられた
いったいはふかいあお
いまだに
じかんすらさだかでは)

りょう
きみとあう。
ぜったい。

いすず
どうおもったの?

りょう
こんらんした。
でもきみじゃない。
もっとそれはとくべつとおもうから。

いすず
こんご。
どうなることかしら。

いずみ
なにもないとおもう。
ふつう。
そうでしょ?

いすず
こまったことについては。
もんだいがあったら。
なにかはらぐろいもの。
でもいまはなおさらかまわないきがする。
へいおんね。

(どこにいくべきか
すくなくとも
かりのはなし
たぶんねづかない
かわらず
おとずれをまつ
ちんもく
よかんするものはきせつ
いつわはあくまで
とうじしゃとは
もはや
このできごと
さったあとにはなにものこさず
だれも
いっときのものにすぎない)


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